データの読み物
全国の公的データを集めて、数字の背景まで読み解きます(出典明示・中立の立場)
「バス停の数」は、バスの便利さも、バスの有無も教えてくれない——駅がない485市区町村を数えてみた話
鉄道駅がない485市区町村で、バスはどうなっているのか。国土数値情報のバス停留所データで数えると中央値は36か所、最多は大分県国東市の595か所でした。ただしこのデータに運行本数は入っておらず、1日1本の停留所も1日60本の停留所も同じ「1」です。さらに人口4万人の町が0件と出ます。数えられた数字と、そこから言えないことを確かめます。
市の高齢化率は、あなたが住む地区の数字ではない——同じ市の中で0.9%と57.2%、市内の開きは中央値32ポイント
「この市の高齢化率は23%」という数字を、市のどこでも23%くらいだろう、と読んでいないでしょうか。国勢調査の町丁・字まで下りて全国7.3万地区を並べると、同じ市の中で高齢化率は中央値32ポイント開いていました。千葉県印西市は市全体で23.1%ですが、0.9%の地区と57.2%の地区が同居しています。市の平均が何を語り、何を語らないかを確かめます。
「日本の人口が17%減る」と「あなたの街が17%減る」は別の話——2050年に人口が増えるのは全国の4.5%だけ
2050年の日本の人口は2020年より17%減る、と聞くと自分の街も2割弱減るのだろうと考えがちです。でも市区町村ごとに並べると、真ん中の街は36%減。人口が増えるのは全国1,728のうち77(4.5%)だけで、5つに1つは半分以下になります。国全体の1本の数字と、街ごとの数字がここまで違う理由を確かめます。
全国の47%の市区町村に産科がない——でも「日本の47%に産科がない」ではない、という話
産科がある市区町村は全国の半分ほどしかありません。1,741のうち819(47.0%)には産科・産婦人科を掲げる医療機関が1つもない。ただし、そこに住む人は全国の7.7%です。自治体を数えるか、人を数えるかで見える絵はまるで変わります。数字が語ることと語らないことを確かめます。
「公示地価」は、その街で売買されている土地の値段ではない——実取引と並べると4割の街で2割以上ずれる
ニュースで見る「地価」は公示地価のこと。でも公示地価は全国18,615地点の標準地を鑑定した値で、1市区町村あたり中央値はわずか3地点です。実際の成約価格の中央値と並べると、両者が±20%以内に収まるのは56.5%だけ。しかも売れた土地の構成しだいで中央値は年ごとに大きく振れます。数字が語ることと語らないことを確かめます。
「高齢化率が高い街」は不幸な街ではない——そして「最も若い街」1位は、原発避難の町だった
高齢化率が高い街は衰えている、と思っていないでしょうか。全国で並べると高い順に人口千人台の山村が並び、低い順(若い順)の1位は原発避難で人口が激減した福島県大熊町でした。高齢化率は「率」なので、若者が減るだけでも上がります。「若い=活気」でも「高齢=衰退」でもない——数字が語ることと語らないことを確かめます。
「見どころが多い街」は観光地とは限らない——全国2.1万スポットの半分は寺社、上位に並ぶのは大都市
見どころが多い街ほど観光に楽しい、と思っていないでしょうか。全国の著名スポットを数えると2万1,557件。最も多いのは京都ですが、上位には名古屋・浜松・足立区など、観光地とは言いにくい大都市も並びます。しかも全体の半分以上は寺社。スポットの数は「観光の楽しさ」ではなく、都市の規模や面積を映しています。数字が語ることと語らないことを確かめます。
「店が多い街」は買い物しやすい街とは限らない——商業事業所の密度トップは、住宅街ではなく問屋街だった
店が多い街ほど買い物に便利、と思っていないでしょうか。人口あたりの商業事業所の密度を全国で並べると、トップは東京都千代田区。でもその正体は、住む人向けの店ではなく問屋街とオフィス街でした。この数字には卸売も混じり、昼間人口の多い都心や人口の少ない村が跳ねます。数字が語ることと語らないことを確かめます。
大学は東京に集中し、進学率は1.9倍の差——「進学=上京」を全国データで読む
大学進学率が高い県ほど教育熱心、と思っていないでしょうか。全国で並べると進学率は東京の72.9%から鹿児島の38.4%まで1.9倍の開き。しかも大学は東京だけで全国の18%が集まり、地方には2〜3校しかない県も。地方の高校生にとって進学はしばしば「上京」を意味します。数字が語ることと語らないことを確かめます。
「平均所得が高い街」は住民みんなが豊かな街ではない——トップの港区1,781万円は"平均のからくり"、という話
平均所得が高い街ほど豊かで住みやすい、と思っていないでしょうか。納税者1人あたりの課税対象所得を全国で並べると、トップは東京都港区の1,781万円。でも全国の中央値は318万円で、上位はごく一部の都心・高級住宅地に偏っています。「平均」は一部の高所得者が引き上げる——数字が語ることと語らないことを確かめます。
「人が集まる街」ほど良い、とは限らない——全国の転入超過を並べたら、76%の市区町村は人が減っていた
人が集まる街ほど良い街、と思っていないでしょうか。全国の転入超過(転入−転出)を並べると、人が増えているのは全体の2割強だけで、76%の市区町村はむしろ人が出ていっていました。しかも増えている街の実数トップは大都市ばかり。人口比で見ると顔ぶれは一変します。数字が語ることと語らないことを確かめます。
「財政が豊かな街」は暮らしやすい街とは限らない——財政力トップは人口4,500人の村、という話
財政が豊かな街ほどサービスが手厚い、と思っていないでしょうか。自治体の財政力指数を全国で並べると、トップは人口4,500人ほどの愛知県飛島村。上位は工場・原発・観光地を抱える小さな町村が占めました。一方で全国の過半は指数0.5未満。低くても行政は回ります。数字が語ることと語らないことを確かめます。
「空き家率が高い街」は衰退した街ではない——全国でいちばん空き家が多いのは軽井沢、という話
空き家率が高い街は寂れている、と思っていないでしょうか。全国の市区町村を空き家率で並べると、上位に来たのは軽井沢・那須・熱海——衰退どころか人気の別荘地でした。空き家統計には賃貸募集中や別荘も含まれ、本当に問題の「放置空き家」は全国で5.9%。数字が語ることと語らないことを確かめます。
「事故が少ない街」は安全とは限らない——全国の交通事故を件数と死者で並べたら、順位がほぼ入れ替わった
交通事故が少ない県ほど安全、と思っていないでしょうか。全国を人身事故の件数(人口10万人あたり)で並べると静岡が最多・秋田が最少ですが、死者数で並べ替えると順位はほぼ入れ替わりました(順位相関はほぼゼロ)。事故が少ない県が死亡事故は多い、という逆転も。件数と死者は別物という話を、数字が語ることと語らないことで確かめます。
「駅徒歩◯分」では探せない街——全国485市区町村(28%)に鉄道駅がない、という話
家探しでおなじみの「駅徒歩◯分」。でも全国1,741市区町村のうち485(28%)には、鉄道駅が一つもありません。しかも駅がないのは田舎の小さな町ばかりではなく、人口14万人の沖縄市のような都市も含まれます。駅がない街の暮らしはバスが支えますが、停留所の数は便利さとは別もの。数字が語ることと語らないことを確かめます。
「長生き」と「健康で長生き」は違う——全国の健康寿命を並べて分かった、男8.5年・女11.6年の"差"
平均寿命が長い県ほど健康で長生きできる、と思っていないでしょうか。健康寿命(日常生活に制限のない期間)を全国で並べると、平均寿命との間に男性で約8.5年、女性で約11.6年もの「差」がありました。女性は長生きなぶん不健康な期間も長い。県による差は小さく、健康寿命は自己申告ベース——数字が語ることと語らないことを確かめます。
「地価が上がっている」のは都市だけ——全国1,737市区町村を並べて分かった、5年で6割が下落・2,900倍の格差
「地価が上がっている」というニュースを、全国の話だと思っていないでしょうか。住宅地の公示地価を全国1,737市区町村で並べると、この5年で上がったのは3割、下がったのは6割超でした。上昇はほぼ都市部に限られ、最高と最低の差は約2,900倍。しかも公示地価は実際の売買価格とは別もの。数字が語ることと語らないことを確かめます。
「出生率が高い街」は子育て天国ではない——全国1,732市区町村を並べて分かった、沖縄と東京23区の落差
合計特殊出生率が高い街ほど子育てしやすい、と思っていないでしょうか。全国1,732市区町村を並べると、上位は沖縄と奄美の離島がほぼ独占し、下位は東京23区が並びました。でも「高い=子育てしやすい」でも「低い=しにくい」でもありません。率と実数の違い、小さな自治体の推定のブレまで、数字が語ることと語らないことを確かめます。
「移住で100万円」は町の奪い合いではない——全国1,092市町村の移住支援金を並べて分かった、手厚さの正体
「移住で最大100万円」の正体は、町ごとの競争ではなく全国共通の設計でした。基本額(単身60万・世帯100万)は詳細が判明した1,084件のうち約98%で同じ。差がつくのは子育て加算で、一律100万ではありません。本当に手厚い福島の被災地の別枠(単身120万・世帯200万)は「移住のしやすさ」とは文脈が違う——全国データを並べて確かめます。
県境をまたぐと時給が変わる——全国の最低賃金を並べて読む、203円の差と「高い=暮らしやすい」ではない話
令和7年度の地域別最低賃金は、最高の東京1,226円と最低の高知・宮崎・沖縄1,023円で203円・約1.2倍の開き。最低賃金は都道府県ごとに決まるので、同じ通勤圏でも県境をまたぐと時給の下限が変わります(東京と山梨で174円差)。さらに「賃金が高い県ほど仕事が見つけやすい」わけではないことまで、全国データを並べて確かめます。
「病院がある」と「医師がいる」は別——全国47都道府県で読む、人口10万人あたり医師数の1.8倍格差
人口10万人あたりの医師数は、最多の徳島県(345.4人)と最少の埼玉県(189.1人)で約1.8倍の開き。しかも医師が手薄なのは地方ではなく、東京を囲む首都圏でした。西高東低のパターンと、この数字が語らないこと(勤務地ベースの罠・診療科の偏り・県内格差)まで、全国データを並べて確かめます。
「待機児童ゼロ」はもう街選びの決め手にならない——全国1,741市区町村で読む「0」の意味
令和7年4月時点で全国の87.9%の市区町村が待機児童ゼロ。横浜市は申請7万件超でもゼロ、一方で子育て支援に手厚い明石市は56人。「ゼロ=入りやすい」ではない理由と、この数字が語らないこと(隠れ待機児童・4月1日の断面・入りやすさの全体像)まで、全国データを並べて確かめます。
夏に本当に涼しい街はどこか——8月の平年気温を全国1,741市区町村で並べる
8月の平年気温は最も低い北海道浜中町で17.3℃、最も高い石垣市で29.4℃と、全国で12.1℃の開き。大阪市の8月は那覇市と同じ29.0℃、軽井沢は札幌より涼しい——気象庁平年値から「涼しさ」の地理を読み解き、この数字が表さないこと(猛暑日との違い・平年値の限界)まで確かめます。
都道府県の「治安」を数字で読む——なぜ最少と最多で3倍以上の差がつくのか(2024年)
令和6年の刑法犯認知件数を人口10万人当たりに揃えると、最少の秋田と最多の大阪で3.24倍の差。数字が何を表し、何を表さないのかを、体感治安との違いまで含めて丁寧に読み解きます。