「長生き」と「健康で長生き」は違う——全国の健康寿命を並べて分かった、男8.5年・女11.6年の"差"

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健康健康寿命データの読み物

「長生きの県ランキング」はよく目にしますが、長く生きることと、健康なまま長く生きることは同じではありません。この記事では、都道府県別の健康寿命(厚生労働省・令和4年値=日常生活に制限のない期間の平均)を全国で並べ、平均寿命との差や地域差を読み解きます。第1弾からのデータの読み物と同じく、順位そのものより、数字が何を語り、何を語らないかを確かめる回です。

平均寿命と健康寿命の間に、8〜12年の"差"がある

まず、いちばん大事な区別から。平均寿命は「何歳まで生きるか」、健康寿命は「日常生活に制限なく過ごせるのは何歳までか」を表します。この2つには、無視できない差があります。

全国の値(いずれも令和4年)で並べると、こうなります。

男性 女性
平均寿命 81.05歳 87.09歳
健康寿命 72.57歳 75.45歳
その差(制限のある期間) 約8.5年 約11.6年

平均寿命から健康寿命を引いた差は、男性で約8.5年、女性で約11.6年。これは、人生の最後に「日常生活に何らかの制限がある期間」がこれだけある、という意味です。「長生き=ずっと元気」ではなく、長さと健やかさは別の指標——ここが出発点になります。

女性は長生き、でも不健康な期間も長い

もう一つ、意外な事実があります。「女性のほうが長生き」はよく知られていますが、健やかな期間の差は、寿命の差ほど大きくないのです。

  • 平均寿命の男女差:約6.0年(女性が長い)
  • 健康寿命の男女差:約2.9年(女性が長い)

女性は男性より6年長く生きますが、健康なまま過ごせる期間の差は2.9年しかありません。差し引き、女性のほうが「制限のある期間」が約3年長い計算になります。長生きは、そのまま健康な時間の長さを意味するわけではない、ということです。

県による差は、思ったより小さい

では、住む場所で健康寿命はどれくらい変わるのか。ここが今回いちばんの勘どころです。答えは「差は小さい」でした。

健康寿命が最も長いのは、男女とも静岡県(男性73.75歳・女性76.68歳)。最も短いのは、男女とも岩手県(男性70.93歳・女性74.28歳)。その差は、男性で2.8年、女性で2.4年にとどまります。

これは、これまで読んできた治安(都道府県で約3倍)や地価(市区町村で約2,900倍)のような桁違いの格差とはまるで違います。健康寿命は、住む都道府県で大きく決まるものではなく、食事・運動・喫煙・社会とのつながりといった生活習慣の積み重ねで説明される部分が大きい。「どの県に住むか」より「どう暮らすか」が効く指標だ、と読むのが自然です。

この数字が語らないもの

ここがいつもいちばん大事なところです。健康寿命は健康を考える手がかりですが、次のこととは別物です。

  • 自己申告にもとづく推計値です。この健康寿命は、国民生活基礎調査で「日常生活に制限があるか」を尋ねた回答から算定されています。要介護認定を使った別の計算方法もあり、方法が違えば値も変わります。客観的な健康度の絶対尺度ではありません。
  • 都道府県単位だけです。市区町村別の公式な健康寿命は、標本規模の制約から算定されていません。「うちの市の健康寿命」は公式には存在せず、県の参考値で見るしかありません。
  • 値のない県もあります。今回のデータでは兵庫県が出典値未収録で、順位を付けていません(欠測を「最下位」と扱わないため)。空欄は「悪い」ではなく「わからない」です。
  • 差が小さいぶん、順位に一喜一憂しすぎない。上位と下位で2〜3年の差なので、1つ2つの順位差は誤差に近い。傾向をつかむ指標として読むのが適切です。
  • 3年ごとの断面です。ここに載せたのは令和4年値で、値は改定されます。

machiscopeで見る

同じデータを、次の形でそのまま確認できます。

まとめ

  • 平均寿命と健康寿命は別。全国では、平均寿命との差(日常生活に制限のある期間)が男性で約8.5年、女性で約11.6年ある。長生き=ずっと元気、ではない。
  • 女性は長生きだが、不健康な期間も長い。寿命の男女差(約6年)に対し健康寿命の差は約2.9年で、差し引き女性のほうが制限のある期間が約3年長い。
  • 県による差は小さい(最長の静岡と最短の岩手で男性2.8年・女性2.4年)。健康寿命は住む県より生活習慣で決まる部分が大きい。
  • 健康寿命は自己申告ベースの推計・都道府県単位のみで、値のない県もある。順位の小差にとらわれず、一つの目安として読む。

出典:厚生労働省「健康寿命の令和4年値」(日常生活に制限のない期間の平均・都道府県別)。全国の平均寿命は同「令和4年簡易生命表」(男性81.05歳・女性87.09歳)。都道府県別の集計・対比はmachiscopeによるもの。健康寿命は国民生活基礎調査の回答にもとづく推計値で、算定方法により値が異なります。市区町村別の公式値は算定されていないため都道府県単位の参考値です。指標の粒度・ライセンスはデータ出典・方法論に記載しています。数値は参考情報であり、正確性・完全性を保証するものではありません。