「日本の人口が17%減る」と「あなたの街が17%減る」は別の話——2050年に人口が増えるのは全国の4.5%だけ

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人口将来推計データの読み物

「2050年には日本の人口が◯%減る」という数字を、ニュースで見たことがあると思います。では、その割合をそのまま自分の住む街に当てはめてよいのでしょうか。この記事では、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の地域別将来推計人口(令和5年推計)を使い、2020年から2050年までの30年で、全国1,728市区町村がそれぞれどう変わる見通しなのかを並べます。第1弾からのデータの読み物と同じく、順位そのものより、数字が何を語り、何を語らないかを確かめる回です。

国全体は17%減、でも「真ん中の街」は36%減

まず、収録した1,728市区町村を合計すると、こうなります。

  • 2020年:1億2,569万人
  • 2050年:1億438万人-17.0%

30年で2,131万人減る計算です。ところが、市区町村ごとの変化率を並べて真ん中を取ると、-35.7%。国全体の2倍以上落ちます。

なぜ差がつくのか。合計の「-17.0%」は、人口の多い街ほど強く効く数字だからです。減り方が緩やかな大都市が全国の人口の大半を占めているので、合計で見ると穏やかに見える。一方、市区町村を1つずつ数えると、数の上では小さな自治体が多数派で、そちらの減り方が急です。同じデータから、17%とも36%とも言える——どちらも正しく、答えている問いが違います。

人口が増えるのは、1,728のうち77

30年後に人口が増える見通しの市区町村は、77しかありません。全体の4.5%。残る1,651(95.5%)は減ります。

増える77の顔ぶれを見ると、東京都が30で最多、次いで埼玉県9・沖縄県9・福岡県7と続きます。伸び率の上位はこうです。

市区町村 2020年 2050年 変化
東京都中央区 169,179人 210,897人 +24.7%
千葉県流山市 199,849人 241,539人 +20.9%
東京都港区 260,486人 312,556人 +20.0%
東京都千代田区 66,680人 79,828人 +19.7%
沖縄県中城村 22,157人 26,102人 +17.8%
千葉県印西市 102,609人 119,819人 +16.8%

反対の端では、減り方が7割を超える自治体が並びます。群馬県南牧村が74.8%減(1,611人→406人)、北海道歌志内市が-72.0%、北海道夕張市が-70.6%。人口が半分以下になる市区町村は344あり、全体の5つに1つにあたります。

減り方は、いまの人口規模でくっきり分かれる

現在の人口規模ごとに変化率の中央値を出すと、きれいな階段になります。

2020年の人口 自治体数 変化率の中央値 増える自治体
5,000人未満 283 -49.7% 1
5,000〜2万人 521 -43.7% 8
2万〜5万人 401 -35.0% 13
5万〜10万人 241 -25.4% 17
10万〜30万人 197 -18.6% 20
30万人以上 85 -11.5% 18

小さい街ほど速く減り、大きい街ほど緩やかに減る。県単位でも同じ形で、中央値が最も高いのは東京都で0.5%減、最も低いのは秋田県で51.5%減。秋田県は、県内の半分の市町村が人口半減以下になる見通しということです。

東京圏も減る。それでもシェアは上がる

ここが読み違えやすいところです。東京・神奈川・埼玉・千葉の4都県を合計すると、2020年の3,691万人から2050年は3,525万人へ、-4.5%東京圏も減ります

それでも、全国に占めるシェアは29.4%から33.8%へ上がります。自分たちが増えるからではなく、他がもっと減るからです。「東京一極集中が進む」という表現は、東京が膨らみ続けるという意味ではありません。全体が縮むなかで、相対的な重みだけが増していく。人口1万人未満の自治体が521から737に増える、というのが同じ現象の裏側です。

この数字が語らないもの

ここがいつもいちばん大事なところです。将来推計は精度の高い作業ですが、次のこととは別物です。

  • これは「予測」ではなく「推計」です。いまの出生・死亡・移動の傾向がこのまま続いたら、という条件つきの計算で、当たる・外れるを競う数字ではありません。実際、政策や産業の変化で傾向が変われば結果も変わります。「決まった未来」ではありません
  • 13市町村は推計そのものがありません。福島県のいわき市・南相馬市・双葉町・大熊町など13市町村について、社人研は推計を公表していません(いずれも東日本大震災と原発事故の影響を受けた地域です)。この記事の「全国」はその13を除いた1,728市区町村です。
  • 出発点は2020年の国勢調査です。その時点で災害や避難によって人口が大きく動いていた自治体は、その状態が起点になります。
  • 減る=衰退、ではありません。人口が減っても暮らしの質が保たれている地域はあります。逆に増えていても、住宅や保育の逼迫という別の課題が出ます。
  • 中身(年齢構成)はここでは見ていません。同じ「-30%」でも、若い世代が抜けた結果か、高齢者が減った結果かで意味はまったく違います。
  • 市区町村は合併や区割りで変わります。30年のあいだに枠組み自体が変わる可能性があります。

machiscopeで見る

同じデータを、次の形でそのまま確認できます。

まとめ

  • 収録1,728市区町村の合計は2020年1億2,569万人から2050年1億438万人へ、-17.0%。だが市区町村ごとの変化率の中央値は35.7%減で、国全体の2倍以上減る。
  • 人口が増えるのは77市区町村=全体の4.5%だけ。上位は中央区(+24.7%)・流山市(+20.9%)・港区(+20.0%)。半分以下になるのは344市区町村
  • 減り方は人口規模で階段状に分かれる。5,000人未満は中央値49.7%減、30万人以上は11.5%減。秋田県は県内の半分が半減以下。
  • 東京圏も4.5%減る。それでもシェアが29.4%→33.8%に上がるのは、他がもっと減るから
  • これは条件つきの推計であって決まった未来ではない。減る=衰退でもない。一つの目安として読む。

出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」結果表1より、2020年(基準)と2050年の総人口を市区町村別に集計(machiscope)。同推計は福島県の13市町村について公表されていないため、本記事の集計対象は1,728市区町村です。基準年の人口は2020年国勢調査にもとづきます。将来推計は一定の仮定にもとづく条件つきの計算であり、将来を保証するものではありません。指標の粒度・ライセンスはデータ出典・方法論に記載しています。数値は参考情報であり、正確性・完全性を保証するものではありません。