「高齢化率が高い街」は不幸な街ではない——そして「最も若い街」1位は、原発避難の町だった

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人口高齢化率データの読み物

「高齢化率が高い街は、活力を失って衰えている」——そんなイメージを持っていないでしょうか。でも、高齢化率という数字は、そのまま街の元気さや幸福度を測るものではありません。この記事では、市区町村別の高齢化率(65歳以上人口÷総人口・2020年国勢調査)を全国で並べ、この数字が何を語り、何を語らないかを読み解きます。第1弾からのデータの読み物と同じく、順位そのものより、順位の意味を確かめる回です。

高いのは山あいの小さな村、低いのは都心

まず全体像です。全国の高齢化率は28.0%(2020年)。市区町村の中央値は34.6%でした。高い順に並べると、上位はこうなります。

市区町村 高齢化率 人口
群馬県南牧村 65.2% 約1,600人
長野県天龍村 62.1% 約1,200人
群馬県神流町 61.5% 約1,600人
福島県金山町 60.9% 約1,900人
奈良県御杖村 60.2% 約1,500人

高齢化率が6割を超えるのは、いずれも人口1,000〜2,000人ほどの山あいの村です。住民の3人に2人が65歳以上、という計算になります。反対に低い(=若い)のは、東京都中央区(14.6%)や港区・渋谷区など、タワーマンションに子育て世帯や単身者が流入する都心でした。

高齢化率の高さは、多くの場合「若い世代が進学や就職で都市へ出ていき、高齢者が残った」結果です。そこに暮らす高齢者が不幸なわけでも、街が「間違っている」わけでもありません。ただし、人口が減って生活の機能(店・病院・交通)が縮んでいく、という現実は別に見ておく必要があります。

「最も若い街」の1位は、原発避難の町

ここが今回いちばんの勘どころです。高齢化率が最も低い、つまり数字のうえで最も若い自治体はどこか。生のデータで並べると、1位は福島県大熊町(10.3%)でした

でも、これを「日本一若くて活気ある町」と読むのは、完全な誤りです。大熊町は東京電力福島第一原発の立地町で、2011年の事故で全町避難を強いられました。人口は大きく減り、いま町に関わっているのは復興や作業のために出入りする働く世代が中心。高齢者を含む多くの住民が戻れていないために、「若い」という数字になっているのです。これは活力の証ではなく、その逆に近い。

このように、低い高齢化率が「良い街」を意味するとは限りません。だからmachiscopeでは、原発事故で避難した自治体を平時のランキングから外しています。数字の1位をそのまま受け取らず、なぜその数字になったのかを見る——それが、この指標といちばん大事なつきあい方です。

高齢化率は「率」——若者が減っても上がる

もう一つ、見落としやすい点があります。高齢化率は、高齢者の数そのものではなく、総人口に占める割合です。だから、高齢者の数が変わらなくても、若い世代が出ていって分母が小さくなれば、率は上がります

「高齢化率が上がった」は、必ずしも「高齢者が増えた」ではありません。子どもや働く世代が流出しただけで、率は上がる。逆に都心のように若い世帯が流入すれば、高齢者が増えていても率は下がって見えます。率の増減と、実際に高齢者が増えたかどうかは別の話なのです。

この数字が語らないもの

ここがいつもいちばん大事なところです。高齢化率は地域を知る手がかりですが、次のこととは別物です。

  • 高い=不幸・衰退、ではありません。若い世代が出た結果であって、そこに暮らす人の幸福度を測るものではありません。
  • 低い=活気・良い街、でもありません。避難や特殊事情で人口構成が歪んだ場合も低く出ます(大熊町がその例)。
  • 「率」なので分母で動きます。若者が減るだけでも上がり、高齢者が増えたことと同じではありません。
  • 暮らしやすさとは別軸です。高齢化率が高くても医療や交通が整った街もあれば、その逆もあります。数字だけで住みやすさは決められません。
  • 2020年の断面です。全国値28.0%はこの時点のもので、その後さらに上がっています。

machiscopeで見る

同じデータを、次の形でそのまま確認できます。

まとめ

  • 高齢化率は全国で28.0%(2020年・市区町村の中央値34.6%)。高い上位は群馬県南牧村(65.2%)など人口1,000〜2,000人の山あいの村で、低いのは都心。
  • 数字のうえで最も若い1位は福島県大熊町(10.3%)だが、これは原発避難で人口が激減した結果で、「若くて活気ある街」ではない。低い高齢化率=良い街とは限らない。
  • 高齢化率は割合なので、若者が減るだけでも上がる。率の増減と、高齢者が実際に増えたかは別。
  • 高い=衰退でも低い=活気でもなく、暮らしやすさとも別軸。なぜその数字になったのかを踏まえ、一つの目安として読む。

出典:総務省「2020年国勢調査」に基づく社会・人口統計体系(65歳以上人口÷総人口)より市区町村別に算出(machiscope)。原発事故で避難した自治体は人口構成が特殊なため、平時のランキングからは除いています。指標の粒度・ライセンスはデータ出典・方法論に記載しています。数値は参考情報であり、正確性・完全性を保証するものではありません。